888お絵かき備忘録

お絵描き・水彩ノウハウ

クサカベのドットシート塗ってみた

ドットシートとは?
簡単に言うと絵の具のお試しシートです。

水彩絵の具の乾いても水で溶かせる性質を生かし、少量の絵の具を紙にドット状に置いて乾かし、実際の色の確認や使用感を試せるというもの。

機械でなく手作業で製作されているので、通常販売してるメーカーは少なく、イベントなどの限定発売しかないことも。

今回紹介するのはクサカベのドットシートです。

基本的にイベント限定でたまに出す程度で、BASEのECストアに出されると瞬殺する、なかなかレアな代物。

私はちょうどタイミングが合って全色シート、ハルモニア、シングルピグメントの3枚を入手しております。

この記事を書いている時点でハルモニアとシングルピグメントは在庫有になってるので、欲しい方はお早目に。

全色シートはたまーに再販するので同じくECショップをフォローしておくか、公式Xのアナウンスをチェックしておくとよいです。

ECショップ https://kusakabe.official.ec/

Xアカウント https://x.com/Kusakabe_Co

全色ドットシート

流石に蛍光色は再現しきれませんでした…フレッシュピンクとかもっとド派手な色してます

特徴的なのは蛍光色が多いこと、なるべく毒性の低い顔料で無機顔料系を再現していること。

クサカベさんのこだわりらしいですねーコバルトやカドミウムは極力使わない方針。ただ、最近はハルモニアなどに重金属系の顔料も使用しているようです。

あと顔料記載がないですね。確認には別途カタログが必要になります。

バーントアンバーは複数顔料なせいか少し分離してるように見えますね。バンダイクブラウンは他には中々見ないようなこっくりとした赤茶色で、私はアイラインとか顔の主線に馴染みが良いので使ってます。

パステルカラーもかわいい。アクアブルーはよくインナーカラーや差し色に使います。コバルト系ほど強くならず、ほわっと明るくなるので使いやすいです。

あとペインズグレーが気になる。よくある青みグレーでなく、デイビスグレーっぽい透明色で他にない感じ。

全体的に固いんですよねクサカベさん。けっこうひび割れてる色も多い。

クサカベの絵の具は気づくとパレットから剥がれ落ちてる、ともよく聞くので、このシートも取り扱いに気を付けないと絵の具とれそうですね…

ハルモニア&ハルモニアプラス

それまで海外メーカーばかりだった分離色を、日本メーカーであるクサカベが出した意欲作。

思い切り分離するために、製品には多めに10ml入ってます。

こちらのシートは第一弾ハルモニアと第二弾ハルモニアプラスの全色揃ってますね。

めちゃめちゃ濃く色が出てるけど台紙が(おそらくシングルピグメントと一緒な)アルティスティコ(コットン紙の中でも超高発色)なのでホワイトワトソンとかだともっと薄くなります。

アークティックオーシャン、フォグアッシュは発売当初の色から色調変更されてます。私は変更前を持ってないのでなんとも言えない。ファントムミストも変更ですが、こちらは(記事編集時点で)まだ先の予定らしいので、このシートも変更前なのかな?

色調変更後のフォグアッシュの絵の具チューブにはシールが貼ってあります。

 

ダスクスカイとファントムミストはDS(ダニエルスミス)の人気分離色にも近い顔料のグレイッシュな紫。紫?茶色ともグレーとも、なんともいえない色。

ムーングロウ、シャドウバイオレットと比較。ついでにホルベイン分離色のカケスを。

そこまでDSとは似てないですね。比べると赤味が強い感じ。さらにDS2色は青緑が分離してくるのに対し、国産分離色は青紫っぽい色が出てきます。

シングルピグメント

盛り上がる分離色ブームから更にクサカベが「自分で作れる分離色の元」を出してきたぞ!

内容は粒状化するグラニュレーティングカラーと、紙に染みつく粒子の細かいステイニングカラーの二種。

ステイニングカラーは鮮やかだけど耐光性にやや難のある顔料が多いので保存には注意。

グラニュレーティングカラーがくっっっそ溶けづらい。

溶け具合微妙なハルモニアがトロトロに感じるくらいには溶けない。特に薄い色。プラセオジムイエローとポタピペール、クロムオーキッドとコバルトニッケルグレーライト。

ジンククロムマホガニーとブラウンは、シュミンケが過去出していた某色と同じ顔料らしいですが、色味はだいぶ違うそうです。期待してる人は注意。

個人的にはコバルトニッケルグレーが中々見ない、ほんのり茶がかった暗色グレーでよきです。ただ、混色してみた感じあんまり分離主張しないタイプかな。
分離を楽しみたいならポタピとブラウン系が安パイ?

 

ステイニングカラーは、ローダミンバイオレットレーキとアルカリブルーレーキの鮮やかさに目を奪われます。

この辺の色って粒状化顔料ばかりなので、こちらは粒子感がなくまるでカラーインクのよう。その代わり耐光性が犠牲になってますが…

まあ、原画を飾らないならば、あまり気にしなくてもいいのですけど。取り込んでデジタル化する場合、ちょっと鮮やかすぎて色再現はしづらいですね。この辺はアナログ画材全般の悩ましいところです。

おまけ

ハルモニアとシングルピグメントから、暗め&無彩色に近い色をピックアップして、試しにキャラの髪に塗ってみました。

なお肌色はすべてフェアリーコンクパール。配信流しながら作業したため何故かいるライフ先生(右下)

コバルトニッケルグレーがやわらかな黒茶で良きです。ライトのほうは色が弱いので、メインより影や下塗りで使ったほうがよさそう。

アークティックオーシャンは思ったより分離がわかりにくい?髪色よりは瞳のほうが合いそうな感じ。フォグアッシュがニュアンスある黒髪って感じで楽しい。
ファントムミストが紫なのか茶なのか、面白い色ですね。

個人的にはジンククロムマホガニーくらいの赤茶が好き。逆にウィッチボルドーは赤過ぎた…そもそも赤系よりアース系のジオグラフィックのほうが髪色には合いそうでしたね、失敗。

 

こういった検証も簡単にできるため、ドットシートの存在ってありがたいです。

本当、たいへんな手間をかけて作ってくれる各社メーカー様様ですね。