水彩絵の具でも、肌色に相当する色は結構ありますよね。
ジョーンブリアン、ネルプルスイエローレディッシュなどの名前で売られてます。
オレンジ系やライトレッド系を薄めて使うことも、よくあるのではないでしょうか。
でも、肌の色って、色白や黄色肌だけじゃなく、褐色肌のような色もあるわけで。
焦げ肌、日焼け肌、小麦肌…呼び方は色々ですが、総じて茶色っぽい濃い色です。
なので、薄いジョーンブリアンでは上手く表現できません。
じゃあ、普通に茶色塗ればいいのかな?でも、土気色っていうし、顔色悪くなっちゃわないかな…?
と、いうわけで、今回は肌色に使えそうな茶色の比較です。
肌色に向く茶色探し
茶色は混色でも作れる色ですが、同じ色を安定して塗るとなると、既存の茶色絵の具を使うほうが向いてます。
肌塗り比べ
手持ちの絵の具で女の子の肌を塗ってみました。
髪はクサカベコバルトニッケルグレー、肌の影はレンブラントパーマネントマダーパープルで統一してます。
レンブラントキナクリドンオレンジ
ST系なので粒子感なく塗れますが、色味は明るいので褐色というより日焼けって感じ。
レンブラントバーントアンバー
PBr7にしては粒子が細かい。いかにもな褐色肌。ちょっと赤味入れないと顔色悪くなるかも?
クサカベバンダイクブラウン
バンダイクブラウンは各社個性が出ますが、クサカベは特に赤紫っぽい。こういう人種って感じの肌になりますね。
ホルベインライトレッド
赤!茶色っぽさは少な目ですがラテン系っぽい感じにはなるかも?薄くして普通に肌色として塗った方が馴染みはよさそうですが。
セヌリエウォームグレー
茶色っぽいからいけるかな、と思ったけどグレーはグレーでした。絵柄によっては合いそうですが、褐色とはいえないかな…
マイメリバーントアンバー
他メーカーより彩度低め。ちょっと粒子感があるのでムラなく綺麗に塗るのが難しいかも。
こちらは髪クサカベローシェンナ、肌の影は同じくレンブラントパーマネントマダーパープル。
W&Nバーントシェンナ
他メーカーと違いPR101を使用しているので、粒子感なく明るい色。これも褐色というより日焼けっぽいかな。
ターナーバーントシェンナ
赤味が強めなせいか肌色感が。水多めに使うとけっこう粒子感が出るので、そのままだとムラだらけ。
ターナーバーントアンバー
同じく粒子感が強く出るので、こちらもムラなく塗るのが難しい。
クサカベバーントアンバー
PR101とPBr7の複合なので若干粒子感は抑えられる。ただ、少し彩度が低いので顔色悪い。
バーントアンバーに白を混色
チャイニーズホワイトを混ぜると、粒子感が薄れて若干彩度が上がります。ただ、明るくなったせいか、褐色というより濃い肌色っぽい感じになりました。
自分で茶色を混色
彩度の高い茶色を自分で混色するのは難しいです。グレー寄りの茶色は作りやすいので、人外っぽい土気色は塗りやすいかも?
番外:土気色
一応、茶色のカテゴリだけど、さすがに褐色から外れてる色たち。
クサカベセピア
黒の代わりと言われるだけあって、かなり彩度が低い。リアル人物画なら黒人の肌っぽく塗れそうではあるけれど、キャラ絵だと流石に使いにくそう…
W&Nキャプトモータムバイオレット
名前は死者の頭という意味らしく、確かに肌に塗るとゾンビ色。そもそも紫だし。粒子感も強め。むしろ肌の影につかったほうが馴染む色。
W&Nダークブラウンに白を混色
ダークブラウンは限定色ですが、マイメリのセピアと同じ顔料なので参考程度に。
通常のセピアより赤味があるので、チタニウムホワイトを混ぜて粒子感を抑えたら多少はマシな感じ。でもグレー感が強すぎるかな。
基本はバーントシェンナかバーントアンバー
日焼け程度の肌ならバーントシェンナ、地黒褐色肌ならバーントアンバーを使うのが、一番安定していますね。
しかし、メーカーごと粒子感や彩度の高さが違うので、白を混ぜたり、逆に補色や黒で彩度を下げたり、など調整が必要なものもあります。
レンブラントやシュミンケなどは透明感と粒子の細かさに定評のあるメーカーですが、どちらも高い…土顔料は同社でも比較的手を出しやすい値段ではありますが
粒子の荒い絵の具には白を混ぜる
茶色顔料のPBr7は基本的に粒状化色です。なんで肌色にはムラになりがちで不向き。
でも基本セットには大抵入ってるし、安いから茶色といえばこれを選ぶのは自然なこと。
粒状化色は白絵の具を混ぜると粒子感が落ち着く傾向があります。手持ちを活用するなら白を混色するのが一番手っ取り早いです。
一般的に、混色に向くのは少し薄めのチャイニーズホワイトですが、本来の顔料PW4(pw7)を使用してるメーカーばかりでなく、単にチタニウムホワイト(PW6)を薄く調整したものだったりします。
この辺りは好みだと思いますが、個人的になじませる目的ならチャイニーズホワイトのほうが使いやすい気がします。
しかし、どうしても白を混ぜると不透明になり質感が変わるので、塗り方によっては浮いたりしてしまうことも…
混色して茶色を作る
ステイニング系の粒子の細かい顔料絵の具を混ぜて茶色を作れば、そもそも粒子感を気にする必要はありません。
赤味のある絵の具に補色を加えていくと、茶色っぽい色を作れます。
ただ、補色は加えすぎると灰色になっていきますので、彩度を保った茶色を作るのはなかなか難しいです。
また、作った色が塗っている内に足りなくなる可能性もあります。そうすると、全く同じ色を作るのは一苦労です。
ハーフパンなどに、直接絵の具を出して混ぜたものを保存する、という手もありますが、狙った色を作るのは大変ですし、チューブ絵の具は思ったより乾いてからの"引け"があり、かなり絵の具が目減りします。
とはいえ、既存にない自分好みの色が作れる、というのはかなり魅力的。
メーカーもたまに複合顔料の茶色絵の具を出してくれてますが、肌に塗ることを想定してないのか、どうしても粒子感があるんですよね。
この色が出したい!ってときは、混色するしかなかったり。難しいですねぇ…